繊細さという強み

Life Lessons

私は、どちらかというと内向的な人間だ。

相手のちょっとした表情の曇りや、言葉の裏側にある感情を勝手に想像しては気後れしてしまう。仕事でも、誰かにお願い事をするのがひどく苦手で、結局一人で抱え込んでしまうことがよくある。外交的で、誰とでも屈託なく笑い合える人を見ると、まぶしくて、ついその振る舞いを真似てみたりする。けれど、そんな無理をした日は決まって、夜になるとどっと精神的な疲労が押し寄せてくる。たまらなく、そんな自分の性格が嫌になる夜があった。

ある時、人間の性格はセロトニンの分泌量や、それを受け渡すトランスポーターの能力など、遺伝的な要因に大きく左右されるという話を知った。私のこの疲れやすさも、気にしてしまう気質も、生まれ持った設計図のようなものなのかもしれない。そう思うと少しホッとする反面、どこか諦めのような気持ちも芽生えた。

けれど、本当にそれで終わりなのだろうか。

ふと、体の筋肉のことを考えた。生まれつき筋肉がつきやすい体質の人もいれば、そうでない人もいる。それはまぎれもない事実だ。それでも、日々のトレーニングを重ねれば、体は確実に変わっていく。遺伝的に不利であっても、鍛錬を怠る天性の持ち主を凌駕することだって十分にあり得るのだ。

心だって、きっと同じはずだ。

私は、諦めることをやめた。少しだけ無理をして新しい人に会ってみる。不安を抱えながらも新しい仕事に手を挙げてみる。そんな小さな負荷をかけ続けることで、心の筋力は少しずつ、けれど確実に鍛えられていく実感がある。以前なら深く傷ついていたような出来事に対しても、良い意味で少し「鈍感」になり、受け流すしなやかさが備わってきたように思う。

そして気づいたことがある。私がずっと弱点だと思っていた「繊細さ」は、実は大きな武器なのだということ。相手の気持ちに立ちすぎる気質は、誰かの痛みを自分のことのように理解できる優しさでもある。

傷つきやすかったからこそ、どうすれば強くなれるかを必死に考え、努力できた。

鍛え上げた「心の筋肉」と、生まれ持った「優しさ」。この二つが組み合わさった時、それは他でもない、私だけの揺るぎない強みになる。そう信じて、今日もまた、少しだけ背筋を伸ばして歩いていく。

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